AIの答えが思いどおりにならない原因は、プロンプトだけではありませんでした。
AIの使い方で迷う10の問いに、記事66本をAIで作った経験と実験で答えます。
「〜しないで」と頼むと逆に出るのか、も同じ条件で試しました。
10の問いと対処法の一覧
先に、10の問いと「どうすればいいか」を表にまとめました。
各Qでは、答えと対処法を最初に置き、理由と例をその下に書いています。
気になる問いから読んでも分かるようにしています。
| Q | 問い | 対処法 |
|---|---|---|
| 1 | 思っていた答えと違うのは、プロンプトのせい? | 根拠を聞き、足りない材料を渡してから頼み直す |
| 2 | どういうプロンプトがいい? | 1行目に、何を決めたいかを書く |
| 3 | 自分が思っている答えを引き出すには? | 気になった所を、感じたままの言葉で1つずつ返す |
| 4 | アバウトに伝えるか、詳しく伝えるか。その差は? | 数えられることは数字に、数えられないことは理由を添える |
| 5 | ルールファイルは必要? どこまで作り込む? | 2回以上言った指示だけを、200行以内で書く |
| 6 | AIツールによって、性格や向き不向きは違う? | 性格より、やりたいことに強いツールで選ぶ |
| 7 | 白熊効果は、AIにも当てはまる? | 当てはまる。禁止した物ほど出力に入るので、欲しい物を書く |
| 8 | 心理学から、AIへの伝え方を学べる? | してほしいことを先に書き、禁止には理由を添える |
| 9 | AIの良さを引き出すには? | 確かめ方まで渡し、AIに確かめて直させる |
| 10 | 結局、AIはどう使うべき? | 作業はAIに、決めることと最後の確認は人に |
思った答えが出ないのは、プロンプトのせいか
Q1からQ3は、答えが外れたときの話です。
外れる原因、伝え方、直し方の順に見ます。
Q1. 思っていた答えと違うのは、プロンプトのせい?
答え:多くは、プロンプトより「AIに渡した材料」が原因です。
よく言われるのは、プロンプトの質がそのままAIの回答の質になる、という答えです(日立ソリューションズ・クリエイト)。
ただ、プロンプトが同じでも、渡した資料や読ませたページが違えば、答えは変わります。
・比べる相手の情報を渡さずに比較表を頼むと、空いたマスをAIが推測で埋める
・Webページを読ませても、AIが受け取るのは要約のことがある。そこで原文に無い数字が混ざる
など
渡す材料の考え方は、コンテキストとは?AIの性能を変える「情報環境」の考え方にまとめています。
Q2. どういうプロンプトがいい?
答え:1行目に、何を決めたいかを書くプロンプトです。
よく言われるのは、役割を与えて、目的や背景、出力の形を指定することです(ソフトバンク)。
ただ、型をすべて埋めても、何を決めたいかが抜けていると、無難な答えが返ってきます。
・よくある頼み方:記事のテーマ案を出して
・1行目を足す:申し込みを迷う読者の不安をなくしたい。そのための記事テーマを5つ出して。材料は下に貼った問い合わせのメモ
プロンプトそのものの考え方は、プロンプトとは?AIに仕事を依頼する設計書の考え方にあります。
Q3. 自分が思っている答えを引き出すには?
答え:1回で当てようとせず、気になった所を1つずつ返します。
よく言われるのは、1回で完璧を狙わず、追加で指示して直す、という進め方です(ソフトバンク)。
このとき、うまい指示を考え直す必要はありません。
・「この言葉の意味が分からない」
・「同じ始まり方が3回続いている」
・「ここだけ急に堅い」
このくらいの言葉で、直す場所は十分に伝わります。
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AIへの指示は、どこまで詳しく書くか
Q4とQ5は、指示やルールをどこまで書き込むかの話です。
同じテーマの記事を9本書かせて、ルールの効き方も比べました。
Q4. アバウトに伝えるか、詳しく伝えるか。その差は?
答え:差が出るのは詳しさより、守れたかを確かめられる書き方かどうかです。
よく言われるのは、丁寧すぎるくらいに詳しく指示を書く、という答えです(ソフトバンク)。
ただ、「読みやすく」をいくら詳しく書いても、守れたかの判断は読む人で変わります。
・「短く」→「一文は60字まで」
・「見出しの下は簡潔に」→「見出しの下は3文まで」
・「堅くしないで」→「初めての人が読むので、専門用語には一言説明を添えて」
数字は、いま一番長いものに合わせないようにします。
ほぼ全部が通ってしまい、効かないからです。
Q5. ルールファイルは必要? どこまで作り込む?
答え:毎回同じ指示をしているなら要ります。
書くのは、毎回守ってほしいことだけです。
よく言われるのは、ルールファイルに書けば、毎回同じ指示を繰り返さなくていい、という答えです(Claude Code)。
ただ、Claude Codeの公式ドキュメントでは、ルールファイルは強制の設定ではなく、AIが読む資料として扱われます。
長いほど守られにくく、1ファイル200行以内が目安です。
同じテーマの記事を、ルールの渡し方だけ変えて3本ずつ書かせました(Claude Opus 5)。
数えたのは、文章のルール17項目に反した箇所です。
| 渡したルール | ルールに反した箇所(3本) |
|---|---|
| 渡さない | 4件/7件/6件 |
| 文章のルール17項目(うち13項目が「〜しない」の形) | 1件/1件/0件 |
| 同じ17項目を「〜する」の形に書き換え | 1件/2件/0件 |
ルールを渡すと、反した箇所ははっきり減りました。
否定の形と肯定の形の差は、この本数では見えません。
ただ、ルールに書いていない「似た文の繰り返し」は、ルールを渡した記事にも毎回出ました。
ルールファイルの考え方そのものは、ルールファイルとは?AIを安定運用する指示書の考え方にまとめています。
AIツールの違いと、白熊効果
Q6からQ8は、AIの性格の違いと、人と同じ心のくせがあるかの話です。
Q7は、同じ課題で30本書かせて試しました。
Q6. AIツールによって、性格や向き不向きは違う?
答え:違います。
性格より、やりたいことに強いツールで選びます。
| やりたいこと | ツール | 公式が説明している特徴 |
|---|---|---|
| 企画の相談、壁打ち | ChatGPT | 話し方の性格を設定で選べる(デフォルト/プロフェッショナル/フレンドリーなど7種類) |
| 長い文章を書いて整える | Claude | 好奇心、偏らない見方、思慮深さを持つように性格を設計した(2024年) |
| 自分のメールや資料を使う | Gemini | Gmail、ドキュメント、ドライブ、カレンダーとつなぎ、中身を探して要約できる |
| 出典つきで調べる | Perplexity | ネットをその場で検索し、出典つきで答えるアンサーエンジン |
性格を説明しているのはChatGPTとClaudeで、GeminiとPerplexityは、つながる先や検索が特徴です。
性格の違いは使い心地の差で、できることの差は、つながる先と検索で決まります。
使っている個人の感覚では、ChatGPTは企画が得意な「陽キャ」、Claudeは整理が得意な「陰キャ」です。
Q7. 白熊効果は、AIにも当てはまる?
答え:当てはまります。
禁止した物を、AIは意識した出力にします。
よく言われるのは、人は「考えないで」と言われるほど考えてしまう、という白熊効果です(Wegnerら 1987)。
白熊を考えないよう指示された人は、抑えきれず、その後にかえって白熊のことを多く考えました。
AIでも、入れないでと頼んだ物が、出力に入ってきます。
分かりやすいのは、画像のプロンプトをAIに作らせるときです。
・頼んだこと:猫のキャラクターは入れないで、プロンプトを作って
・できたプロンプト:「猫のキャラクターは入れない」という一文が入っている
・画像生成のAIは「猫」を読み取り、猫を出すことがある
Midjourneyの公式ガイドも同じ例を挙げています(Midjourney)。
「ケーキなし」のパーティーと書くと、ケーキが出てくることがある、という例です。
ふだんのやりとりでも、禁止したことが答えの中に断り書きとして出てきます。
文章では何が起きるのかを、カフェのトーストを紹介する150字の文章で試しました。
Claude Opus 5で、条件ごとに10本ずつです。
・何も頼まない:10本すべてに「ふんわり」が出た
・その言葉を使わないよう頼む:0本。代わりに「しっとり」が10本すべてに入った
・噛んだ様子が浮かぶ言葉で、と頼む:0本。近い「ふわり」が10本に残り、噛む音や弾力の描写が増えた
禁止した言葉そのものは消えましたが、同じ種類の言葉に置き換わりました。
言葉は消えても、禁止した物への意識は残っています。
書き方そのものが変わったのは、してほしい書き方を渡したときだけでした。
Q8. 心理学から、AIへの伝え方を学べる?
答え:そのまま当てはめず、してほしいことと、その理由を伝えます。
公式ガイドも、「何をしないか」より「何をするか」を伝えるよう勧めています(Anthropic)。
ただし、良い例のほうにも理由つきの否定形が残っています。
・理由なし:三点リーダーは使わない
・理由あり:読み上げソフトが発音できないので、三点リーダーは使わない
Q7で見たとおり、禁止は、その物を出力に呼び込みます。
理由を添えた効果までは、今回は測っていません。
結局、AIの良さを引き出す使い方
Q9とQ10は、ここまでの8問をまとめた答えです。
AIに何を渡し、人に何を残すかの話です。
Q9. AIの良さを引き出すには?
答え:頼むときに、確かめ方まで渡します。
確かめる手段があると、AIは結果を見て、人が指摘しなくても自分で直します。
ただ、AIは文字数を数え間違えることがあります。
プログラムを動かせるAIなら、数えるプログラムを作ってもらい、それで確かめさせます。
・頼み方の例:一文は60字まで。書き終えたら各文の字数を数え、超えた文は直して
AIが書いた記事をどう確かめるかは、AIで作ったブログ記事、そのまま公開していいのか?品質チェックの方法に書いています。
Q10. 結局、AIはどう使うべき?
答え:作業はAIに任せ、決めることと最後の確認は人が持ちます。
・AIに任せる:書く、調べる、数える、確かめる
・人が持つ:何を決めたいか、出していいかの最終確認
任せる工程を増やすほど、人の時間は「確認」に集まります。
どこまで任せられたかの実測は、ブログ運用はどこまで自動化できたか。人に残った2つの判断にまとめています。
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